知れば知るほど興味深い、日本の年中行事「節分」

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今週末、2月3日は節分です。
豆まきをして鬼を追い払い、恵方巻きを食べる日。そんなイメージが定着している節分ですが、本来、節分とはどういった日なのでしょう。

じつは2月3日だけではない「節分」

節分は、読んで字の如く「季節を分ける」日。本来は、各季節の始まりの日とされている立春・立夏・立秋・立冬の前日を指します。各季節の始まりの日の前日、ということは「各季節の終わりの日」ということにもなります。
つまり、本来の節分は

  • 春の節分(5月4日)
  • 夏の節分(8月6日)
  • 秋の節分(11月6日)
  • 冬の節分(2月3日)

の、年4回あるということになります。
現在の暦では、1月1日が一年の始まりの日ということになっていますが、旧暦では立春の2月4日が元日、その前日の2月3日が大晦日に相当しました。冬の節分は一年の終わりの日だったのです。
そのため、2月3日の冬の節分は、春夏秋の節分よりも特別な意味を持つことになったのです。

節分に豆まきをするのはなぜ?

節分の日に「鬼は外!福は内!」と声を出しながら福豆(煎り大豆)をまいて、年齢の数だけ(もしくは一つ多く)豆を食べるというのは定番のイベントですが、なぜ節分の日には豆まきをするのでしょう。

季節の変わり目に現れる鬼

日本では古来より、季節の変わり目には邪気が生じると考えられおり、邪気の象徴である「鬼」を追い払うためのお祓い行事が執り行われてきました。平安時代にはすでに行われていたというこのお祓いの行事。当時から大豆を鬼にぶつけて追い払うという手法がとられていました。

大豆は五穀のひとつで穀霊が宿るとされており、米に次いで神事に用いられてきた穀物で、米よりも粒が大きいため、鬼にぶつけて追い払うのにちょうど良いと考えられていたようです。また「魔の目=まめ」に「豆」をぶつけて「魔を滅する=魔滅=まめ」という語呂合わせがあったことから、節分には鬼の目に豆をぶつけて目を潰し追い払う、という習慣ができたと考えられています。生の大豆ではなく煎った大豆を使うのは、生のままだとあとで拾い忘れた豆から芽が出てしまい縁起が悪いから、などの理由があるそうですよ。

一年の最後の日に邪気を払って、新しい年を迎える。
なんとなく慣習として無意識にまいていた節分の豆ですが、そのような意味が込められていたのです。

落花生をまく地域がある?!

すこし面白い話を耳にしたことがあります。節分には大豆ではなく落花生をまくのだ、というのです。
なぜ落花生なのか理由を聞いてみたところ、

  • 大豆は粒が小さく、まいたあとの片付けが大変だが、落花生は大きいので拾いやすく片付けが楽である。
  • 床にまいた豆は不衛生で食べられないが、落花生なら殻を剥けば食べられる。

ということでした。なるほど、たしかにとても合理的です……。
そのご家庭独自のナイスアイデアかと思いきや、どうやら北海道や東北地方、北陸地方、九州の一部地域などでは、大豆の代わりに落花生をまく風習を持つところがあるようです。皆様のご家庭では、大豆をまきますか?落花生をまきますか?

柊鰯の風習も

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他にも、柊鰯(ひいらぎいわし)と呼ばれる、ヒイラギの小枝と焼いたイワシの頭を門口に挿す風習も有名です。

ヒイラギの葉の棘が鬼の目を刺すので門口から鬼が入れない、イワシの臭気と煙で鬼を近寄らせない、などの意味を持ち(逆にイワシの匂いで鬼をおびき寄せ、ヒイラギの葉の棘で目を刺し退治するという解釈もあるのだそう)、これも平安時代にはすでに行われていたお祓いの風習です。
どことなく、ヨーロッパのヴァンパイアがにんにくを嫌う風習と似ている気もしますね。
一部地域では、節分にイワシを食べる「節分いわし」の風習を持つところもあるのだそうですよ。

いつの間にか当たり前になっていた「恵方巻き」

さて。節分といえば、近年にわかに地位を確立しつつあるのが「恵方巻き」です。
七福神にあやかって、7種類の具が入った太巻き寿司を、その年決められた縁起の良い方角「恵方」を向いて無言で丸かじりすると一年健康でいられる、というものです。
無言で食べるのはしゃべると運が逃げてしまうから、包丁で切らずに丸かじりするのは福や縁が途切れないようにするため、など諸説あります。その他にも、目を閉じて願い事を浮かべながら食べる、笑いながら食べるなどの決まりがある地域もあるそうです。

今年の恵方は「南南東」

今年、2018年の恵方は「南南東」。
恵方とは、その年の福徳を司る歳徳神(としとくじん)のいる方角のことで、その方角に向かって事を行えば何事も吉とされています。かつては、初詣も恵方の方角の神社に参ったり、初めてのことを行うときは恵方に向かって行なったといいます。
最近ではスマホのアプリでも簡単に方角を調べることができるので、今年の節分に恵方巻きを召し上がる際は「南南東」を向いて食べましょう!

じつは起源がとても曖昧な「恵方巻き」

ところで。私は生まれも育ちも東京なのですが、幼いころから節分に豆まきをする習慣はありましたが、恵方巻きを食べるという習慣はありませんでした。「恵方巻き」という存在すら、百貨店やスーパーなどが大々的に宣伝広告を出すようになったここ何年かまで知らなかったほどです。皆様はご存知でしたか?

どうやら恵方巻きとは、関西圏を中心に広まった風習なのだそうですが、その起源については「正確には不明」なのだとか。
江戸時代末期に大坂の船場で商売繁盛の祈願として始まった風習を発祥とするなど諸説あるものの、確かなところでは、1970年代半ば頃から大阪海苔問屋協同組合が寿司関連の団体と連携して、節分と関連付けた巻き寿司の販売促進活動を行なったことで関西圏を中心に広まった風習なのだそう。
その後、1990年頃からスーパーやコンビニなどでも販売されるようになり、宣伝活動も活発になったことから「節分には恵方巻きを食べる」という風習が全国的に認識されるようになっていったのだそうです。

たしかにこの季節になると、新聞の折り込みチラシや、スーパーやコンビニの張り紙広告などで「恵方巻きご予約」といったフレーズをよく目にしますよね。古くから地域や家庭に根付いている風習というよりは、企業の宣伝活動の成果として全国的に広まった風習が「恵方巻き」なのです。

筒状の巻物型ならなんでもアリの風潮も

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最近では、筒状の巻物型の食べ物ならなんでもアリ!といった様子で、ロールケーキやクレープなどのスイーツ系恵方巻きも人気です。うまい棒やチョコバットなど、もはや巻いてすらいない棒状のものでもOK。さらには「おに」を「く」う、の語呂合わせで、お肉の巻き寿司も流行中なのだとか。

季節のイベントはなんでもアレンジして楽しんでしまう日本人らしさが、伝統行事の節分でも存分に発揮されています。もともと宣伝活動の結果として定着した恵方巻きの風習ですから、こうした新しい風習がどんどん生まれていくのも「らしい」と言えるかもしれませんね!

一年の生活を彩る年中行事に関心を持って暮らしてみませんか

節分ひとつを見ても、豆まきの仕方や、柊鰯の飾り方、恵方巻きの食べ方など、同じ日本でも地方や地域、各家庭のルーツなどによって、こんなにも様々な特色があるのはとても興味深いですよね。

私たちの生活を彩る季節の年中行事の数々。どんなふうに過ごすのか、いろんな方と話題にしてみると意外な発見があって面白いかもしれません。今年は日本の行事にも関心を持って暮らしてみませんか?